keep jumping

華やぐ街が恋しいのなら、ここで帰ってもいいんだよ。おいで。手を伸ばす。高台から見える夜景には、幾万の高い声が。薄い壁の向こう。君が声を上げる。思った以上にハスキーだな、と、コップに耳をあてた隣人が思う。性などない。犬が、ただ体温を高める。それだけだ。近しい優しさに全てを開きたくなる。独唱するように、嬌声を上げる。声がたくさん、声がたくさん、声がたくさん。華やぐ街が恋しいのなら、ここからダンスホールに向かおうか。おいで。手をとる。君の手は、硬いね。抱き締めるように祝詞を述べる。君が幸せでいるように。華やぐ街の声が聞こえる。高台には俺一人でいい。ただ、声を上げてくれ。近しい優しさに、華やぐ音に、視界を閉ざされないよう、ただ声を上げてくれ。声が、響く、ところに、行きたい。君の、声だけ、俺に、放つ、声だけ、響く。街が、光る。高台から見える夜景は、そんな風に出来ている。ただこのやりきれない思いは、俺だけのものだ、と、高台は満員であり、お前ら全員俺だ、と、また、声が上がり、また、響き、どこまでも、高みが。きみのことすきなんだ。きみのことすきなんだ。きみのことすきなんだ。三回呟いて、また泣く。ごめんなさい、が僕への合図。君の幸せと声が響いて体になるからもっと嬌声を。どこまで高みにいけば一人で俺だけのやりきれねえ思いに包まれることが出来るんでしょう。きみのことすきなんだ。きみのことすきなんだ。きみがすきなんだ。やっぱり、泣き声も、満員。ひとりにしてくれよ。あいにいけないじゃない。うんざり、する、高台と、夜景。おなじ、声が、うじゃうじゃ。でも、きみのこと、好きなんだ。