ボーナストラック・トゥ・レ×ミオロメン・イン・ザ・ワールド 

 
あそこ、林のところ、人間学園にも女子はいる、俺は校舎から続く舗装された裏門への道を、腕章を付けながら歩いていた、すると、甲高い、甲高い声が俺は苦手だ、砂のような、ざらざらした感触が、俺はいい、声で、同じく腕章を付けた生徒が告げる、俺はその様子を一瞥して、今日も制服が似合っていて、今日も制服を記録したがっているな、と彼らを見遣り、行くぞ、と一声掛けて立ち去る。しどろもどろに声を発しながらついてくる女子生徒。その俺を、きっとどこかから見ているんだろう、きっといつか今日も声を掛けてくるんだろう、あの屋上の上からきっと、足をぶら下げて、ブランコにでも乗るように、俺を見ているんだろう、そして空を、この校舎を包む、紫の空を、あいつは、きっと、甲高い声は上げなかったろう、またここを記録したがっているな いつかは晴れる光なのに、と、低い声で、砂の重なりだけが醸せる崩れる風の厚さ、それを響かせて、奴は告げるだろう。制服の裾を、少し握りながら。誰にもあの薄い金色は捉えられない、でも、やがて夜が来る。小説は終わる。俺は、それまで、お前といたい。こんな目は、嫌いかい?愛はどれだけ残るだろう、足して、二で割って、お前と俺はどこまでいけるんだろう、今夜はどこで会うんだろう、校門か、屋上か、寮の廊下か、枕の下か、俺は、砂が好きだ。さらさらと崩れゆく、あの砂が好きだ。お前は、何が好きなんだ?呟いてみる、腕章を付けた女が、何?と声を出す。そんな夢を見た。枕の下に砂が一握り。人間学園の男子校、制服の裾に皺が一つ。あの女がもしお前ならば。今を残したがる、今が砂であればと望む、お前はブランコに乗るように。木々は生い茂り、今日も腕章を巻く。きっと今日もどこかで会うだろう。そのとき甲高い声が聞こえたら、俺は。