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 寝苦しい熱帯夜を掻き分けるように襖を開けリビングに出ると天井に踊る闖入者を肉眼で確認。動けばやられる、と即座に判断し、襖を閉め、玄関側からリビングの扉を開ける。明らかに触覚がノイジーBPMを刻んでいる。クロだ。そう確信した瞬間から、「G」との睨み合いが始まった。一先ず気を落ち着かせるべく無音歩行で冷蔵庫に接近、遠方の「G」に気を配りつつ緑茶を嚥下。その間時にして数十秒といったところであったろうが、早速さきほど見た位置から移動しているのがもう気色悪くてたまらない。心拍数は一定して高い数値を誇り、この胸の高鳴り、彼にも聞こえちゃうかな…、と思うと即刻火炎放射器で恋心ごと炭素に変えてやりたい衝動にかられじっと彼を見る。キモい。「G」はキモいね 「G」は心をトンガらせてくれる 地球の生み出したキモさの極みだよ そう思わないかい?石川ヒロユ伎君YES!!!といった塩梅で思考回路はショート寸前今すぐ滅殺したいとか思っていたらすげー速さで走り始めたので思わずリビング電灯をいじりまくる。威嚇。光による威嚇。もうほんとあいつキモい。エアコンの裏にダッシュで入っていって五分出てこねーからブラックストーン一服したっつーの。NANAだかウ゛ァギ菜だか知らねーが全然落ち着かねーっつーの。俺はゴキちゃんの奴隷じゃねーっつーの。大体三十分くらい観察したあたりで荷が勝ちすぎる相手だなと理解して和室に戻った。直線距離にして五メートルほどのとこに「G」がいるこれほどまでに緊迫した国際情勢はかつてあるまいといった風情で襖って重なってるからちょっとスキマあいてんだよね。スキマスイッチならぬスキマコックローチとかJポップ通を気取りだしたら正直打つ手ない。密林の油虫打線。やる前から20点差くれー開いてる気がする。とりあえず助っ人のホウ酸ダンゴ頼みだけどいつカタールに移籍すっかわかんないので助っ人アテならねー。ほんと誰か虫全滅爆弾とか作ってください。宇宙船地球号?食っちまえそんなもん。