ボーナストラック

 空から女の子が落ちてきたのでセックスをした。言葉は世界に満ち溢れ、曇天晴天雨天に荒天、空が僕らを覆い、その中で僕らは生きている。通学でもいい、探検でもいい、新しい何かを作ってる最中でもいい、何かに拘泥している時でもいい、あるいは空に絡めとられ、或いは空に守られ、或いは空の下がイヤになり、空に還る土になってもいい、僕らの土とは、人々がそれだけ空を出なかった証でもある、僕らの体はどうやら空の向こうに行くには不向きなもので、空の向こうに行ったらば、なぜか知らないけど星になるらしい、そうならないためには、幾つかの方法があるらしいけれど、空の向こうの世界には、また僕らを覆う世界があって、そこを通るためには、また僕らは何かを作らなきゃいけない、何度も生まれ変わって、手にするものってなんだろうね、でも、空の向こうには星があって、どこかにはきっと美少女なんかもいてさ、こうして僕らはセックスをする。空を決して出れなくても、僕らは空の下で歩く。あの空だけが空じゃない。屋根を見ても空って言えば、雲を見ては空って言うし、上を見上げりゃなんでも空だ、ただ僕らを包む空が、僕らによって増えていく。どんどん美少女が落ちてくればいいね。僕は空に寄り添って、凭れ掛かって、空から来た女の子とセックスをする。ねえ、向こう側は、気持ちいい?こういえば通じるかな、僕はセックスでしか、彼女と会話できないんだ。空から女の子が落ちてきた。僕は毎日空の下にいる。女の子は、気持ちよさそうにしていた。空の向こうから来たんだから、もう空の下の女の子。僕らの言葉の女の子。ただのすけべな女の子。女の子って呼んでよかったのかな。空の向こうでは、何を見て、何て呼ばれていたんだろう。空の向こうには、出したい言葉や出したい精液が、浮かんでいるのかな。この空は僕らを守ってもいるし、包んでもいるし、塞いでもいるし、そう僕らが決めたところにもあったりなかったり。と思ったら空が消えた。女の子も消えた。僕も消えた。じゃあこれを物語るのは誰?新しい僕だ!さあ、なんていえばいいんだろうね。新しい世界で、同じセックスじゃあ物足りないけれど、それしか僕は知らないんだ、と、真白い世界を見渡して、僕は一人思うんだ。これを哀れって言うなら、立石って人を呼んできてよ。真白い世界で、誰もいないけれど、僕は最高にクールさ。ねえ、セックスしてよ。おニューなやつをさ。空から女の子が、落ちてくれば、その先は、ただの繰言。真白い壁に、凭れ掛かると、また新しい音が鳴るんだ。それは世界の音じゃなく、僕の中から、ブラジル人の、アロハに乗って。ヘイ。